ゼレンスキー氏は汚職について何を知っていたのか問われるべき……解任された前国防相がBBCに語る

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ダン・ジョンソン・ウクライナ特派員(キーウ)

7月に解任されたウクライナのミハイロ・フェドロフ前国防相(35)は、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が政権内の汚職について質問されるべきだと、BBCのインタビューで語った。

ウクライナ軍を近代化し、ドローン戦争の先駆者となったことで人気と評価の高かったフェドロフ氏は、就任からわずか6カ月後の先月半ばに更迭された。軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官との確執が原因だったとされる。その後、シルスキー総司令官も解任された

フェドロフ氏はBBCのインタビューで、先週発表された資金洗浄(マネーロンダリング)の捜査に関連し、ゼレンスキー大統領が側近らの汚職の可能性について認識していたのか、問われるべきだと述べた。

一方でフェドロフ氏は、ゼレンスキー氏が不正行為に関与しているのを自ら目撃したことはないと述べた。

「私が彼(ゼレンスキー氏)と一緒に仕事をした期間中、法律や私の倫理観に反するような任務や指示を彼から受けたことは一度もない」と、フェドロフ氏は述べた。

フェドロフ氏はまた、戦時下での大統領選実施をあらためて訴えた。

「民主主義はプーチンの人質になってはならない」とフェドロフ氏は主張。だが、自らの政治的野心については語らなかった。

フェドロフ氏の解任に対しては激しい抗議活動が起こった。しかし、後任が確定したあとの19日には同氏を支持する声が弱まり、デモは終息した。大統領選を求める同氏の訴えは、広く拒否されている。

BBCのインタビューで、以前の仕事が恋しいかと尋ねられたフェドロフ氏は、「いいえ」と答えた。理由として、ウクライナ国防省を改革しながら、ロシアとの戦争を管理する絶え間ないストレスを挙げた。

ゼレンスキー氏は2019年4月に大統領選で民主的に選出され、2024年5月に任期を終えるはずだった。しかしウクライナでは、ロシアの全面侵攻を受けて戒厳令が出されていることから、選挙が実施されていない。ウクライナ議会は2025年2月、ゼレンスキー氏の正統性を確認する決議を全会一致で採択している。

しかしフェドロフ氏は、選挙について議論を始めるのは自分の「道徳的な権利」だと述べた。

「私たちはその議論を恐れるべきではない。それこそが民主主義の本質だ。もし私が自分の考えを社会と共有し、それを率直に表明できないとしたら、私たちは一体何のために戦っているのか」

選挙が決して行われないのであれば、「我々はもはや民主主義国家ではない」とも、フェドロフ氏は述べた。

フェドロフ氏は以前に発表したビデオ声明の中で、「人々は、なぜ特定の決定が下されたのか理解できない状態で、いつまでも生き続けることはできない」と主張していた。

今回のインタビューでフェドロフ氏は、大統領を直接批判することを避け、ゼレンスキー氏が選挙で勝利するのを支持するかという質問への回答を拒否した。

ゼレンスキー氏は23日、戦時下の選挙は現時点ではウクライナにとって危険すぎるとの見解を示した。

「このような戦況では、選挙そのものが大きなリスクになると私は考えている」、「今すぐの選挙は、ウクライナを分裂させる津波のようなものだ」と、ゼレンスキー氏は述べた。

専門家らは、兵士や数百万人のウクライナ難民、占領地の人々がどのように投票するのかといった問題や、ロシアからの偽情報による脅威など、選挙実施にかかわる多くの障害を指摘している。

フェドロフ氏は先週、汚職を告発する動画を公開した。議員や銀行家に対する資金洗浄捜査が発表される前日のことだった。

ウクライナの汚職対策当局はまた、資金洗浄の容疑で起訴された元エネルギー相ヘルマン・ハルシュチェンコ氏の保釈金として、300万ドル(約4億8000万円)以上のウクライナ通貨を不正流用する計画を摘発したと発表した。

これに伴い、大統領府の幹部職員で、事件への関与が疑われていた人物が解任された。

フェドロフ氏は、ゼレンスキー氏の側近らが汚職に関わった可能性について、同氏がどれほど認識していたのか問われるべきだと述べた。

「彼(ゼレンスキー氏)にこの質問に答えてもらおう。(中略)彼がこうした質問に答える準備ができていると、私は信じている」

「彼がそのすべてを知っていたかどうか、私たち全員に伝えるのが彼の責任だ。(中略)私は臆測で物事を判断したくない」

大統領の報道官は以前、BBCニュースに対し、「元大臣(フェドロフ氏)は2019年以降のすべての政権に関わってきたのに、まるで自分とは関係のない別の政権かのように言うのは奇妙だ。誰もが覚えているように、当時、本人から強い発言はなかった」と述べていた。

フェドロフ氏は、防衛調達における汚職を根絶したと主張した一方、その余波が依然として、ウクライナの最前線の能力に影響を与えていると警告した。

フェドロフ氏は、ゼレンスキー氏とは「ここ数週間」連絡を取っておらず、大統領が個人的に汚職に関わっているという証拠もないと述べた。

「彼と一緒に仕事をした期間中、法律や私の倫理観に反するような任務や指示を彼から受けたことは一度もない。それが私個人の彼との経験だ」

フェドロフ氏は当面の政治的野心は否定したが、将来の大統領選出馬の可能性は否定しなかった。

「すべては、この民主的な選挙プロセスをどれだけ早く再開できるか、私にどれだけのエネルギーがあるか、私が自分のチームを維持できるか、私自身が質問に答えることができるか、大統領という立場を担えるかにかかっている」

「しかしもっと重要なのは、人々が私に『ああ、君にならその役職を任せられる』と言ってくれるかだ」

国防相、その前にはデジタル変革相を務めていたフェドロフ氏は、兵士を「ドローン軍」に置き換える革新的な取り組みで名をはせた。戦場での人命救助や、国境から数千キロ離れたロシアの軍事目標、石油精製所、流通倉庫への長距離攻撃を可能にした功績が認められている。

フェドロフ氏は、戦うための新たな方法を引き続き推進していくと述べ、今後数週間以内にアメリカを訪問し、実業家イーロン・マスク氏と会談したいと表明した。

マスク氏が所有する衛星通信サービス「スターリンク」は、ウクライナの前線での成功に重要な役割を果たしてきた。フェドロフ氏は、ロシアがアクセスによる利益を得ないようにしつつ、ウクライナの攻撃を支援できるよう、この技術をロシア領空にまで拡張するようマスク氏を説得したいとしている。

「世界最高峰のテクノロジー企業が我々を支援してくれており、この戦争の終結と我々の勝利のために投資してくれるだろう。私の立場に関係なく、彼らとのつながりを維持していく必要がある。私はこれまで彼らと協力して成功を収めてきた実績があり、祖国のためにも彼らとのつながりを保つ必要がある」

フェドロフ氏は、武器供与の遅れについて、イギリスをはじめとするウクライナ支援国の官僚主義を批判した。

イギリスは長年にわたりウクライナを支援しており、開戦以来、160億ポンド(約3兆4700億円)を武器供与に費やしてきた。先ごろには、イギリス製ドローンがロシアの標的への攻撃に使用されたことが確認された。また、24日にはアンディ・バーナム英首相が、首相就任後初の外国訪問としてウクライナの首都キーウを訪問する予定だ。

フェドロフ氏はイギリスの支援に謝意を表したが、約束されていた装備品の受領が遅れているのは「官僚主義と煩雑な手続き」のせいだと述べた。

「各国政府は現場の実情に追いついていない。これはイギリスだけの問題ではなく、他の国々にも共通する問題だ。支援が発表されても、我々は年末までそれを受け取れない」

フェドロフ氏はまた、他国からの時代遅れの技術や装備に代えて、ウクライナの最新ドローン生産に対する直接的な資金援助を強く求めた。「もはや戦車を使わないのに、戦車の修理は必要ない」。

そのうえで、タイムリーな物資調達は、ウクライナ人だけでなく、他国の人々の命を救うのにも役立つだろうと述べた。

「残念ながら、我々の損失、我々の血、そして我々の軍事経験は、皆さん全員にとって有益なものだ。皆さんは、我々に与えてくれるあらゆる支援によって、この経験を得られる」