トランプ氏、カナダ車への関税引き上げを表明 カーニー氏が報復措置を誓い対立激化

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アメリカとカナダの貿易戦争が激しさを増すなか、ドナルド・トランプ米大統領は24日、カナダで製造された自動車への関税を引き上げると表明した。他方、カナダ政府は、国内の労働者や企業を保護・支援する取り組みを進めていくとしている。
両国の間では先週、貿易交渉が決裂。ともに、相手側が土壇場で不合理な要求をしたと非難し合っている。
トランプ氏はこの日、カナダ製の乗用車、トラック、自動車部品に対する現在25%の関税を、来年1月1日に50%に引き上げると表明した。
この脅しかけに対し、カナダのマーク・カーニー首相は、意外ではないとコメント。トランプ氏は、カナダの自動車産業の破壊しようとしているのだと非難した。同時に、アメリカが「正しい姿勢」で臨むなら、カナダは交渉を再開する用意があるとした。
カナダ当局は24日夜、記者会見を25日に開くと発表。貿易戦争への対応方針と、「この困難な時にカナダの労働者や企業を保護・支援する」取り組みについて説明するとした。
両国の複数の当局者によると、交渉再開のめどは立っていない。
カナダは、アメリカが設定した交渉期限が切れる直前の21日深夜、交渉から離脱した。アメリカは直後、カナダからの輸入品約200億ドル(280億カナダドル、約3兆2000億円)分に対して50%の関税を発動した。
対立のエスカレート
アメリカとカナダは決裂後、双方が自らの立場を譲らないことから、いっそう緊張が高まっている。
カーニー首相は22日、交渉決裂以降で最初の国民向けの演説で、自国の利益を守るために「不本意ながら」報復措置を取るとし、9月8日からアメリカの関税に「同額」の関税で対抗すると明言。アメリカからの鉄鋼、乳製品、家電製品、電子機器などに課税するとした。
これに対しトランプ氏は今回、カナダの自動車産業に対して関税の脅しをかけた。
カーニー首相は、アメリカの新しい関税の影響を受けるカナダ企業への支援に注力するとともに、これまでアメリカへの依存度が高かったカナダの貿易を多様化するためのインフラ整備を進める考えを示している。
首相は24日には、カナダ沿岸警備隊の老朽化した中型・大型砕氷船を刷新するため、ケベック州の造船所で砕氷船6隻を建造するための110億カナダドル(約1兆2700億円)の拠出を発表した。
新造する砕氷船は、カナダ北部および大西洋海域において冬季の海上輸送ルートを開くために使用される。
カナダ国民は、トランプ氏の関税措置に強く反発している。自動車製造業の中心地オンタリオ州の州首相で、率直な物言いで知られるダグ・フォード氏は、「私の尻にキスしろ」というスラングで、トランプ氏に対する不快感をあらわにした。
フォード氏はまた、カナダの石油や天然ガス、電力、重要鉱物資源について、アメリカに割増料金を課すべきだと主張。「反撃」の方法について、カーニー首相と話し合う予定だと述べた。
この発言はトランプ氏の目に留まったとみられ、同氏はフォード氏が「騒いでいる」と、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で非難。「誰かがあの道化師たちを『行儀よく』させるべきだ。さもないと、カナダにとっての結果はずっとひどくなる!」と書き込んだ(編注:太字は原文では大文字)。
カナダ政府のデータによると、アメリカが輸入する原油の全体の60%はカナダからのもの。また、アメリカの天然ガスの輸出先は、ほぼ100%がカナダだという。
企業から懸念の声
両国の企業は、新たな関税のかけ合いにより、損害を被る恐れがあると訴えている。
米オレゴン州ポートランドの会社「パロマ・クロージング」の共同オーナーのマイク・ローチ氏とキム・オズグッド氏は、同社の売れ筋商品であるカナダ製の特製枕の価格が、約5割増しの90ドル(約1万4000円)になる可能性があると話す。
ローチ氏は、現時点では価格を据え置き、「関税問題」の早期解決を期待しているところだと説明。「3カ月前に知らされれば、計画を立て、業者と調整もできる」、「だが文字通り一夜にしてこうなると、まったくどうすることもできない」と話した。
急速にエスカレートする両国の貿易戦争では、メキシコ、および同国も加えた既存の自由貿易協定「アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」への影響も懸念されている。この協定は1兆6000億ドル規模の貿易を支えている。
カナダとメキシコはともに、USMCAを16年間延長させる意向を表明している。一方、アメリカは、現行の形では更新しないとしている。
英調査会社「オックスフォード・エコノミクス」の専門家は24日、貿易摩擦の激化は「USMCAが崩壊するリスクを高めている」と警告。もし崩壊すれば、「カナダは景気後退に陥り、恒久的に低成長の軌道に乗ることになる」と述べた。












