トランプ氏、カナダはアメリカの州となる「恩恵」だけ求めていると批判 貿易交渉決裂で

画像提供, Reuters
アメリカのドナルド・トランプ大統領は23日、カナダについて、「(アメリカの)州にならずに、州としての恩恵」を欲していると自らのソーシャルメディアに投稿した。両国の間では、貿易交渉が21日夜に決裂している。
トランプ氏は大統領復帰以来、カナダをアメリカの「51番目の州」にしたい意向をたびたび示している。今回のトゥルース・ソーシャルへの投稿は、それを反映したもの。トランプ氏のそうした発言は、カナダの指導者や住民らをいらだたせている。
トランプ氏は投稿で、アメリカの農家が長年にわたり「多大な関税」を課されてきたとも書いた。
トランプ氏はさらに、23日のFOXニュースの番組で、カナダがアメリカと貿易戦争をし、「実際に勝つ」と考えるのは「愚か」なことだと述べた。
アメリカは、カナダとの交渉が決裂した後、カナダ製品に対し新たに50%の関税を発動している。
アメリカの交渉担当者らは、カナダが以前合意した条件について「新たな要求や撤回」を行ったと非難した。
ジェイミソン・グリア米通商代表は22日、FOXニュースで、カナダとの交渉再開の予定はないと説明。一方、決裂に終わった交渉の中でアメリカは、カナダに対する関税の一部を引き下げる用意があったとした。
今回の交渉の決裂は、結びつきの深い両国の貿易関係を根底から覆すものとなる。解決への明確な道筋は見えていない。
アメリカと「戦争」状態だとカナダ首相
一方、カナダのマーク・カーニー首相は22日、交渉の決裂以降で最初となる国民向けの演説をし、アメリカの新たな関税を、「私たちを傷つけ、分断させる」ことを目的としている「誤算」だと批判した。
そして、自国の利益を守るために「不本意ながら」報復措置を取るとし、9月8日からアメリカの関税に「同額」の関税で対抗すると明言。アメリカからの鉄鋼、乳製品、家電製品、電子機器などに課税するとした。
また、両国は貿易「戦争」状態にあると主張し、「(アメリカは)要求が多すぎる一方で、申し出は少なすぎた」、「攻撃されれば戦争だ。私たちは攻撃された」と発言。
「私たちは向こうの申し出を受け入れることはできないし、向こうの要求に応じることもない」と述べた。
カーニー氏はさらに、アメリカが提示した条件について、カナダが他国と新たな貿易協定を結ぶのを制限するなど、制約が多すぎて「受け入れられない」ものだったと説明。カナダが土壇場で要求を突き付けたとするアメリカ側の主張を否定し、「私たちは申し出について明確にしたが、返答には失望させられ続けた」と述べた。
カーニー氏に対しては、野党・保守党を含む各党の指導者や、一部の州指導者らも支持を表明している。
保守党のピエール・ポワリエーヴル党首は、カーニー氏を支持する姿勢を示すとともに、アメリカによる最新の関税措置を「不当」と批判した。
カナダで最も人口の多いオンタリオ州のダグ・フォード州首相も、カーニー氏を支持するとし、トランプ氏は「信用できない」と述べた。
ブリティッシュコロンビア州のデイヴィッド・イービー州首相は、カナダの貿易協定を制限しようとするアメリカの要求は、「私たちを経済面で(アメリカの)51番目の州におとしめることになる」と主張。「カナダ人にとって、決して受け入れられることではなかった」と述べた。
ケベック州のクリスティーヌ・フレシェット州首相は、アメリカの新たな関税措置によって、雇用が失われる可能性が高いと警告し、「これらの数字の背後には生身の人々がいる」と述べ、影響を受ける分野への支援を誓った。
石油資源が豊富で、トランプ米政権との関係構築に力を入れてきたアルバータ州のダニエル・スミス州首相は、双方に対し協議の再開を促した。
関税のかけ合い
両国は、先週初めの時点では、貿易交渉での合意に楽観的だった。しかし、交渉が進むにつれ、双方が土壇場での変更を非難し合い、決裂した。
アメリカがカナダに課す新たな50%の関税は、ワイン、乳製品、セメント、衣料品、ホッケー用品など、幅広いカナダ製品に適用する。カナダからの輸入品全体の約5%を対象とし、規模は約200億ドル(280億カナダドル、約3兆2000億円)相当。アメリカはすでに、カナダ産の鉄鋼、アルミニウム、自動車、木材に対して関税をかけており、それらに追加する形だ。
一方のカナダは、対抗手段として関税措置について数日内に詳細を発表すると、カーニー首相が述べている。
今回の決裂は、1年以上にわたって断続的に続いてきた貿易交渉の末に起こった。アメリカが、合意に至らなければ追加関税を課すという期限を設けたことで、交渉はここ数週間、対立が激化していた。
両国は、メキシコも加えた既存の自由貿易協定「アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の義務的な見直しにも取り組んでいた。この協定は、1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)に代わるもので、トランプ氏が大統領1期目に署名した。3カ国間の年間1兆6000億ドル(約254兆円)規模の貿易を支えている。
カナダとメキシコは今夏、USMCAの16年間延長を正式に要請した。これに対しアメリカは、現行のままの更新を拒否した。
カーニー氏は、カナダとアメリカの貿易交渉の決裂がUSMCAにどう影響するかと問われると、「決して良いニュースではない」と述べた。












