イスラエル、ヨルダン川西岸で入植地建設を推進 英仏独伊とカナダが非難

手前に幹線道路があり、その後方の丘陵地に多数の住宅が立っている

画像提供, AFP via Getty Images

画像説明, パレスチナ・ヨルダン川西岸のイスラエル人入植地マアレ・アドゥミム。「E1」地区はここに隣接している(2026年2月撮影)
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ルース・カマフォード、トム・マカーサー

イスラエルが、占領しているパレスチナ・ヨルダン川西岸地区で、入植者向けの住宅約1200戸を戦略的に重要な地域に建設することを計画しており、工事に関する入札の開始を発表した。西側主要国は改めて非難の声を上げている。

入植計画をめぐっては、当該地域に住むベドウィン系パレスチナ人やイスラエルの平和団体が、イスラエルの裁判所に異議を申し立てている。そうしたなか、イスラエル住宅省は19日、昨年8月にイスラエル政府が承認した入植者向け住宅3401戸のうち1234戸について入札を開始した。

これに対し、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダは20日、共同声明を発表。イスラエルの決定を「容認できない」とし、「直ちに計画を撤回」するよう強く求めた。

国際法では、すべての入植地は違法とされる。イスラエルは、エルサレムの東に位置する「E1」地区への入植計画を、国際社会から批判されながら数十年間留保し続けてきた。

イスラエルの友好国の多くやパレスチナ人は、入植について、この地域の「2国家解決」の望みに大打撃を与え、ヨルダン川西岸を事実上二分し、東エルサレムを孤立させると主張してきた。

欧州とカナダの計5カ国は今回の共同声明で、「ヨルダン川西岸は深刻に不安定な状態にある。入植者による民間人への暴力は前例のないレベルに達し、パレスチナ経済は深刻な制約を受けている。こうした状況で今回の決定がなされたのは、いっそう憂慮すべき事態だ」とした。

そして、イスラエルの計画について、「平和を遠ざけるだけでなく、イスラエルの国際的な地位をさらに損なう」と付け加えた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長も声明を発表。地理的な連続性のあるパレスチナ国家の成立に対し、E1計画は「存亡の危機」をもたらすとした。

ベルギーの外相も同様の見解を示した。

イギリスのエド・ミリバンド外相も20日、非難を表明。イスラエル外相は、これに強く反発した。

パレスチナ・ヨルダン川西岸地区のイスラエル人入植地と、エルサレム周辺にあるパレスチナ人居住区を示す地図。「E1入植地」はエルサレムの東に位置する

入植者向け住宅の建設が予定されているのは、東エルサレムとマアレ・アドゥミム入植地の間にある約12平方キロの地区。

イスラエルの極端なナショナリストで、自身も入植者のベザレル・スモトリッチ財務相は、E1計画の推進を発表した当時、パレスチナ国家という概念は「消滅しつつある」と述べていた。

今回の入札の期限は10月19日で、同月27日にあるイスラエル総選挙の直前に設定されている。そのため、選挙後にどのような政権ができても、入札を無効にすることは非常に困難な状況となっている。

イスラエルは1967年の第3次中東戦争でヨルダン川西岸と東エルサレムを占領して以降、約160の入植地を建設。イスラエル人約70万人が居住している。パレスチナ人はこれらの土地を、ガザ地区とともに、将来の国家建設のために欠かせないとして求めている。それらの土地では現在、推定330万人のパレスチナ人が入植者と隣り合って暮らしている。

歴代のイスラエル政権は、国際社会からの激しい反対にもかかわらず、入植地の拡大を容認してきた。

ベンヤミン・ネタニヤフ氏が2022年11月に首相に復帰し、入植者擁護の右派連立政権を率いるようになると、拡大は急速に進んだ。2023年10月7日にガザの武装組織ハマスがイスラエルを急襲し、ガザで戦争が始まったことも、これを加速させている。

E1計画の反対派は、同計画について、ヨルダン川西岸の北部と南部を分断し、ラマラ、東エルサレム、ベツレヘムを結ぶ連続したパレスチナ都市圏の中心開発を妨げることになり、パレスチナ国家の樹立を事実上阻害すると批判している。