イスラエル人入植者に住宅包囲されたパレスチナ人に退去命令、ヨルダン川西岸地区

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ヨランド・ネル中東特派員(エルサレム)
イスラエル占領下のパレスチナ・ヨルダン川西岸地区の村で、イスラエル人入植者らがパレスチナ人住民の住宅を包囲している問題で、イスラエル軍は13日、入植者らを排除する作戦の一環として、パレスチナ人の12世帯に住居から離れるよう命じた。
入植者らは9日以来、この地域の3軒の住宅を包囲し、電気と水道の供給を遮断していた。
クスラ村のアブデル・アジム・ワディ村長はBBCに対し、自分たちの村が軍事閉鎖区域に指定され、パレスチナ人住民が退去した住宅の一部をイスラエル軍が兵舎として使っていると話した。これについてイスラエル軍は、この措置は「住民の保護」が目的だと述べた。
イスラエル政府のデイヴィッド・メンサー報道官はBBCに対し、入植者らの行為は「嘆かわしく」、「容認できない」もので、政府は捜査して責任者を逮捕すると述べた。
「イスラエル軍はこの事案に対して行動を起こしており、我々は捜査を進めている。責任者を逮捕し、起訴するつもりだ」と、メンサー氏は述べた。
入植者らは、現イスラエル政府による入植地の急速な拡大に勢いづき、パレスチナ人を土地から追い出そうとしている。その中で、入植者らによるパレスチナ人住民への暴力行為が劇的に増加している。
入植地は、国際法で違法とされている。入植者らが置く前哨基地は、イスラエル政府の正式な許可なく設置されている。
住民らはBBCに、入植者らに包囲されていたアブ・リディ家とハッサン家が所有する3軒の住宅のうち、2軒の住民が退去を命じられたと話した。退去を命じられた人々はその後、3軒目の住宅に移動したという。
村の別の場所では、他の11軒の住民も軍から退去を命じられていた。
12日夜から13日にかけてクスラ村から共有された動画には、ブルドーザーを含む十数台のイスラエル部隊の車両が映っていた。
その後、日中に撮影された映像には、村へ続く道路に、イスラエル治安部隊の長い列が映っていた。
イスラエル国防軍(IDF)は、「2カ所の違法な前哨基地を解体した」と発表。ナブルス近郊のクスラとジャルード地区郊外でイスラエル人1人を拘束し、装備品を押収したと付け加えた。
自宅からの退去を求められた一人のカヘル・オデ氏は、13日朝に20人以上の兵士が自宅に押し入ってきたと語った。
「朝、兄弟と寝ていたら、(兵士が)押し入ってきてドアを壊し、『開けろ、ドアを開けろ』と怒鳴られた。今でも、目の前の光景を理解できない。20人以上、もしかしたら30人くらいいたかもしれない」
「私たちは家を離れ、近所の方へ歩いて丘を下った。その後まもなく、一帯が封鎖された」
「多くの人が家を追われた。本当に大勢が」と、オデ氏は付け加えた。
約10時間後に一部の家族は帰宅を許されたが、家の中はひっくり返されていた。兵士たちが冷蔵庫から食料をすべて投げ出し、現金1500ドル(約24万円)が盗まれたと話す男性もいた。
BBCはIDFにこれらの疑惑について質問したが、回答は得られなかった。
「クスラの住民は自宅にとどまると、兵には指示があった」と同軍は述べた。
IDFは、兵士らは入植者らによる包囲を受けていたパレスチナ人の住宅の中では作戦行動を行わないと付け加えた。
IDFはさらに、イスラエルの「連絡将校は、クスラの地元指導部と継続的に連絡を取り合っており、地域住民の日常生活への支障を避けるよう努めている」と強調した。
住宅を包囲されていたパレスチナ人家族の一人、クサイ・アブ・リディ氏はBBCに対し、家は13日夜にも再び襲撃されたと述べた。また、入植者ら数人が軍から身を隠し、この地域に残っていると話した。
この住宅を所有するクサイ氏の兄弟の一人は、パレスチナ系アメリカ人の実業家で、米アメリカ大使館に苦情を申し立てていた。
イスラエル人の西岸地区入植を長年支持してきたアメリカのマイク・ハッカビー駐イスラエル大使は、クスラ村の住民に対する入植者らの脅迫行為を「恐ろしいテロ行為」と呼んだ。
「この家族を脅迫し嫌がらせをするために、このような恐ろしいテロ行為を行った者たちの行動は忌まわしい。このような凶暴な行為に弁解の余地はない」と、ハッカビー氏はソーシャルメディアに投稿した。
イスラエル政府は入植地の拡大を推進
クスラ村での事態は、入植者らがパレスチナ人家族の住居への道を封鎖し、電気と水道の供給を遮断した9日に始まった。現場に最初に到着したイスラエル兵は入植者たちと共に祈りを捧げたが、イスラエル軍は後にこの行為に対して懲戒処分を下すと発表した。
アブ・リディ家とハッサン家は、9日に水道と電気の供給が停止された後、ソーシャルメディアで支援を訴えた。
12日、イスラエルの治安部隊が入植者らを排除しようとしたところ、より大規模な集団との衝突に発展した。
BBCが確認したパレスチナ側の監視カメラ映像には、イスラエル兵および国境警備隊と、大勢の入植者との衝突が映っていた。治安部隊は催涙ガスやスタン・グレネード(せん光発音筒)を使用した。
別の映像では、入植者らが宿泊していた天幕をイスラエル軍が押収したが、その他の装備はそのまま残していたようにみえる。
クスラ村にいる入植者らが、具体的に何を求めているのかは明らかになっていない。過去には、入植者らがパレスチナ人を家から追い出し、財産を奪ったことがある。
入植者らは、地域からパレスチナ人住民を一掃すると公言している。
入植地は、国際法で違法とされている。イスラエル政府はこのところ、入植地を急速に拡大しようとしている。
今回の事態は、入植者たちが厳しい処罰を免れている現状と、イスラエル軍が増加する入植者らの暴力行為への対処に苦慮している状況を、改めて浮き彫りにした。
クスラのワディ村長はBBCに対し、地元住民は「クスラ村を標的とした明確かつ継続的な攻撃パターン」を目撃していると話した。先月には、完成したばかりのモスク(イスラム教の礼拝施設)が放火された。近くにはヘブライ語の落書きがスプレーで描かれていたという。
今回の襲撃は、パレスチナのタル村で起きた別の事件に端を発している。イスラエル人入植者らがタルを襲撃したことで事態はエスカレートし、これまでにパレスチナ人4人とイスラエル兵2人の計6人が死亡した。イスラエル兵のうち1人は、近隣のイスラエル人入植地の治安調整役を務めていた。
7月には、入植者らがクシュラ近郊のジャルード村にあるパレスチナ人の家を2週間以上にわたって包囲した。家主が家から逃げたため、入植者らはその土地を占拠して現在もそこに住み続けている。
国連の統計によると、ヨルダン川西岸地区では今年、イスラエル軍または入植者によって、パレスチナ人76人が殺害された。うちうち子どもは18人だった。一方、パレスチナ人との衝突や、パレスチナ人による車両突入攻撃とみられる事件で、イスラエル人3人が死亡している。うち民間人は1人。
国連によると、2023年1月以降、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人コミュニティー127カ所で、住民の完全または部分的な避難が発生している。そのうち47カ所では住民が完全な避難を強いられ、6390人以上のパレスチナ人が影響を受けている。
また、2026年には約3800人のパレスチナ人が、入植者による暴力、家屋の破壊、立ち退きによって避難を余儀なくされた。そのほぼ半数が子どもだった。
11日に国連の安全保障理事会で演説したイスラエルのダニー・ダノン国連大使は、入植地が和平の障害となっているという考えを否定した。同大使は、イスラエルには聖書、歴史、そして法律に基づく土地に対する権利があるため、入植地は存続し、拡大し続けると主張した。
また安保理に対し、「我々はどこにも行かないという、その単純な真実を理解する必要がある」と強調した。
















