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カナダは米関税に「同額」で対抗とカーニー首相 貿易交渉が決裂
ナディーン・ユーシフ・カナダ上級記者、トビー・マン記者
アメリカは22日午前0時、カナダの広範な商品に対する新たな関税措置を発効した。両国は貿易をめぐる交渉を続けていたが、土壇場で決裂した。
カナダのマーク・カーニー首相は、21日夜の期限直前に交渉の中断を発表。アメリカ製品に対して「同額」の報復関税を課すと述べた。首相は、「アメリカが提案した条件の土壇場での変更」が合意への疑問につながったと説明した。
交渉担当者らは、ドナルド・トランプ米大統領が7月に、8月19日までに約200億ドル(280億カナダドル、約3兆2000億円)相当のカナダからの輸入品に50%の関税を課すと脅して以来、集中的な協議を重ねてきた。
トランプ大統領は今週初め、両国にとって「非常に良い」貿易協定の締結が間近に迫っているとして、該当の関税を一時停止していた。
しかし、合意期限の数分前にカーニー氏は、交渉で「重要な進展」はあったものの、「カナダ国民に対する我々の目標を達成するには不十分だ」と述べた。
「その結果、今晩、私はアメリカとの貿易交渉を中断することを決定し、交渉担当者らにオタワへ戻るよう指示した」、「アメリカが提案した条件の土壇場での変更は不公平で非経済的であり、いかなる合意の信頼性にも疑問を投げかけるものだった」と首相は声明で説明した。
カーニー氏の発表後、米通商代表部のジェイミソン・グリア代表は声明で、「カナダは今夜、今週初めに合意した条件で貿易協定を最終決定することを拒否した」と述べた。
「アメリカはカナダに対し、アメリカ市場への主要輸出国の中で最も優遇的な待遇を提供すると申し出た。それにもかかわらず、カナダによる新しい要求や他の約束の撤回によって、ここ数日間で慎重に築き上げてきた均衡が崩れてしまった」と、グリア代表は声明で述べた。
今週初めには、アメリカとカナダの当局者が双方にとって有益な貿易協定の締結が間近だと楽観的な見方を示していた。それだけに今回の交渉決裂は、状況が大きく変化したことをうかがわせる。
交渉担当者らは、カナダ産鉄鋼・アルミニウムに対するアメリカの関税を50%から25%に、カナダ製自動車に対する関税を25%から15%に引き下げる合意案について協議していたと報じられている。
その見返りとして、カーニー氏はカナダの各州に対し、アメリカ製のアルコール製品を店頭に戻すよう要請していた。
アメリカとカナダはお互いを主要貿易国としているが、トランプ氏が昨年1月に大統領に復帰し、両国の数十年にわたる自由貿易を覆す広範な世界規模の関税政策を発動して以来、緊張関係が続いている。
協議が決裂した今、トランプ氏は1930年関税法に基づき、50%の関税をカナダに課すことになる。 大恐慌時代に制定されたこの法律は、アメリカが外国による差別的な待遇で不利益を被る場合、大統領が最大50%の追加関税を課すことを認めている。
新しい関税は、カナダのワイン、乳製品、セメント、衣料品、ホッケー用品など、幅広い品目に適用される見込み。
アメリカはすでに、カナダ産の鉄鋼、アルミニウム、銅に対し、15%~50%の関税をかけている。また、カナダ産の針葉樹材には35%の、自動車に使用されるアメリカ製以外の部品には25%の関税をそれぞれ課している。
カナダは、これらの主要製品に対する関税を撤廃または引き下げるため、1年以上にわたり、アメリカの交渉を断続的に行ってきた。
一方、アメリカはカナダに対し、アメリカ製自動車に対して残る報復関税の撤廃や、アメリカのチーズ生産者の市場アクセスを拡大するための、乳製品輸入割当量の調整など、数々の譲歩を求めている。
また、トランプ政権の関税措置への報復として昨年にカナダのほとんどの州が課した、アメリカ製アルコール製品の販売禁止措置の撤廃も求めている。
両国の企業や貿易関係者は、アメリカがカナダに課す新しい関税は両国にとって有害だと主張し、合意成立を強く求めていた。
アメリカ商工会議所は今週初めの声明で、「関税引き上げは両国の経済に損害を与え、アメリカ家庭のコストを押し上げ、重要なサプライチェーンをさらに混乱させ、アメリカ・メキシコ・カナダ貿易協定に基づく貿易に依存するアメリカ人1300万人の雇用を危険にさらす」と述べていた。
カナダの調査会社アバカス・データが最近行った世論調査によると、カナダ国民の約36%がアメリカの関税措置への報復を支持している。一方、30%がカーニー政権による交渉継続を希望すると答えた。
カナダの報復措置はトランプ政権の反発を招く恐れがある。グリア通商代表は、アメリカは対抗関税を「容認しない」と述べており、先週には記者団に対し、「我々は行動を起こす」と話していた。