脳の内部の動きをを解明した米独3教授にノーベル生理学・医学賞

講義室のような場所で、壇上の男性が発表を行っている。背後のスクリーンには今年のノーベル生理学・医学賞を受賞した3人の顔写真と名前、所属大学などが表示されている
画像説明, ノーベル委員会はスウェーデンのカロリンスカ研究所でノーベル生理学・医学賞の受賞者を発表した(5日)
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ミシェル・ロバーツ・デジタル保健編集長

スウェーデンのカロリンスカ研究所は5日、2026年のノーベル生理学・医学賞を、米スタンフォード大学のカール・ダイセロス教授(54)、ドイツ・フンボルト大学のペーター・ヘーゲマン教授(71)、同ヴュルツブルク大学のゲオルグ・ナーゲル教授(73)に授与すると発表した。光遺伝学の分野における業績を評価した。

3人の研究は、科学者たちが人間の脳の内部構造についてより深く理解し、人間の心がどのように働くのかを理解するのに役立ってきた。

ノーベル委員会は、3人が神経疾患や精神疾患に関連する「特定の記憶、感情、行動」の背後にある神経回路を切り替える方法を明らかにし、神経科学の新時代の基礎を築いたと称賛した。

臨床医学の分野では、研究者たちはこの方法を用い、視覚障害のある人々の視力を回復させようと試みている。

「本当に素晴らしい」

「光遺伝学は、脳に対する私たちの理解を根本的に変えた」とノーベル委員会は述べた。

「日々新たな発見があり、人類最大の謎の一つである『私たちの驚くべき脳がどのように機能するのか』という問いの解明に役立っている」

受賞者たちは、この賞を受賞できたことを「本当に素晴らしい」と述べ、同僚とこの栄誉を分かち合えることを光栄に思うと語った。

3人は1200万スウェーデンクローナ(約1億9000万円)の賞金を分け合うことになる。

チェスをしている女性の脳の働きを描いたイラスト。

光遺伝学とは?

ノーベル生理学・医学賞委員会のペル・スヴェニングソン委員長は、「光遺伝学は、かつては夢でしか考えられなかった方法で脳をマッピングする機会を与えてくれる」と説明した。

以前は、感情、行動、身体機能の背後にあるメカニズムは、科学者にとって謎めいたものだった。

光遺伝学とは、藻類から採取した特殊なたんぱく質を用いて脳の神経経路を可視化する手法。科学者たちはこのたんぱく質を使い、光によって細胞の電気活動を制御する。

ヘーゲマン氏とナーゲル氏は2000年代初頭、この独特な性質を持つたんぱく質「チャネルロドプシン」を発見した。

その後、精神科医で神経科医でもあるダイセロス氏がさらに、チャネルロドプシンを使ってマウスの脳内の神経細胞を活性化させる方法を解明した。

それ以来、研究者たちは動物の神経細胞や神経経路を研究し、それらがどのような働きをするのかをより深く理解できるようになった。

ノーベル委員会は、「光を用いることで、研究者たちは脳内の個々の神経回路でオン・オフの切り替えができるようになった。これにより、記憶をよみがえらせたり、感情を生み出したり、行動を促したり、さまざまな精神疾患や神経疾患に関わるニューロンの種類を研究したりすることが可能になった」と評価。こうした研究により、神経系が心臓や腸など、体内の他の部位にあるさまざまな細胞とどのように相互作用するのかについて、重要な知見が得られると付け加えた。

人々の視力を回復させる

委員会はまた、研究者たちが、光遺伝学を医療治療法として利用するための「第一歩」を踏み出したと説明した。

現在進行中の臨床試験で科学者たちは、眼の桿体(かんたい)細胞と錐体(すいたい)細胞を破壊する網膜色素変性症によって、失明した人々の視力を回復させるための研究に取り組んでいる。

この臨床試験では、目の損傷部位に特殊なたんぱく質を挿入した患者が、光を発する特殊な眼鏡を装着した際に視力をいくらか回復した。これは、光により、藻類由来のたんぱく質が活性化されたためだ。